読書メモ:『「技術書」の読書術—達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』
概要
特にIT関連分野で、技術書との付き合い方を事細かに知ることができる本です。
加えてタイトルの内容に関わらず、技術の習得方法全般について幅広く、深く知ることができる本だと思いました。
「選び方」、「読み方」、「情報発信と共有」の3部につき、2人の著者がそれぞれのノウハウを紹介しています。
2人のノウハウに少し差があることで、より多角的な視点での付き合い方を身につけられると思いました。
この本を手に取ったきっかけ
プログラミングを独学している身として、さまざまな書籍から効率的に知識を得る方法を探していました。
特定の技術や言語についてのタイトルは、業界のシェアが多いものについてほど多くなると思います。
その中から自分に合った本の見つけ方や、実際に手にした本を読んでゆく際、難しくて手が止まりそうな時の対処法を強固にできればと思ったのが動機でした。
所感
多くのノウハウのうち、できそうなことから実践してゆくだけも効果が現れそうに思えて、自身にとっては密度の濃い内容でした。
特に、第2部の「読み方」の内容が響きました。
ここには、言語や技術を学ぶ目的と手段を履き違えないための知恵が詰まっていると思います。
一例として、「入門書は3冊読むことで各本の量や質のギャップを補え、より知識が深まる」といった内容がありました。
私はこれまで入門書について、「これなら自分に合いそうだ」という一冊を決めて買っていました。
それをバイブルのように読み込みながら、内容を覚えようとしていました。
しかし、途中で理解につまずいてしまうことがありました。
その際、Webを利用して多くの記事や記述から理解を深めていました。
その後、不明な部分の知識を強固にしたいと思って再び書店やAmazonを訪れ、さらにサポートとなりうる書籍を買い足していました。
『「技術書」の読書術』でこの内容に接した時、今まで心の中に抱えていたモヤが晴れたように思いました。
「3」という数が、多からず少なからずジャストな分量だと思いました。
また、「『自分が作りたいもの』を意識して読むこと」や「まずは汚くても「動くコード」を書くことを心がける」といった内容もあり、「学び方」にとらわれすぎないことにも技術を会得するコツがあることを掴んだ気がします。
第3部の「情報発信と共有」でも「3」がキーナンバーとして登場しています。
情報発信を上達させるコツとして、中国の歴史学者・欧陽脩が提唱した「三多」という条件が紹介されています。
また、アイデアが出やすい場所としても、同氏が提唱した「三上」という条件を紹介しています。
これらの概念もシンプルな内容のため、すぐに実践できそうに感じました。
このほかにも、自身が技術書を読む上で取り入れたいスキルが満載でした。
最後に、上記の他に特に重要と感じた点を3つ紹介します。
心に残ったポイント3つ
- 知識や技術を得る目的と難易度に応じて本を選ぶ
- プログラミング書では、自分が作りたいものを意識し、本の内容展開に忠実に沿って読むことにこだわらない
- 技術書だけでなくジャンルを問わず本を読むことで、多角的な見方ができ、新たなアイデアの発想にもつながる
書籍情報
『「技術書」の読書術—達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』
IPUSIRON、増井敏克 著、翔泳社、2022年発行