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雑多で個人的な備忘録

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2024年5月26日

読書メモ:『頭のいい人が話す前に考えていること』

概要

マーケティング会社の経営者、コンサルタントとして企業の課題解決に取り組んでいる著者による本です。
著者が新卒で入社したコンサルティング会社での多くの経験談を交え、相手が求めていることに応える話し方について、非常に細かく説明されています。

2部構成で、前半の第1部は、著書名にもあるとおり、相手に向かって「話す」以前の「考え方の基本」を取り上げます。
後半の第2部は、第1部の「考え方の基本」をさらに深く掘り下げます。
話の組み立て方や話者への質問の方法といった行動レベルに至るまで、多くのスキルが記されています。
第2部の最後は「話す」にとどまらず、読書ノートやノウハウメモといった他のアウトプット方法にも言及されています。

この本を手に取ったきっかけ

他人に物事を過不足なく伝えるスキルを身につけたいと思ったことが発端でした。
雑談は時に対象外となりますが、日頃から公私問わず自分の話す内容に無駄があると感じていました。 そのため、自分の話から「贅肉を取って骨格を正す処置ができる」方法となる本を探していました。
電子書籍のストアで話し方に関する書籍を探していた時、この本に目にとまりました。
「立ち読み」機能を試したら非常に読みやすい文体だったため、そのまま購入に至りました。

所感

特に第2部ですが、各項で実際のビジネスシーンでつまずきそうな状況への対処法が示されていると思います。
話す前に「事実と意見を分ける」ことや、「相手の困っていることに対して、内容を整理しながら相手の言いたいことは何なのかを考えながら聞く」ことなどが一例にあります。
自身にとって、冷静なときは自覚できていても、会話が盛り上がるとおろそかになってしまうポイントが非常に多い内容だったと思います。
言い換えれば、ほぼ全ての項目を頭にたたき込みたくなるほど、この本に意思疎通の肝要が詰まっていると感じました。

今まで公私問わず多くの方々と接してきた中で、時に失礼な見方になってしまいますが「この方と話すとなぜか疲れないよな…」とか「この方は物事の内容をより深く捉えられておっしゃっているな」という印象を抱いたことが幾度かあります。
そうした方々が自分に向かって話をされるとき、考えていることは分かりませんが、体の外に現れる特徴がことごとくこの本に載っていると思いました。
そして、外に現れる特徴の基礎は、まさにこの本のタイトルにもある「話す前に考えていること」なのかと気づかせてくれるような内容でした。

こうした「話す前に考えていること」を実践する上で、「素直であること」、「知っていることと知らないことの区別が付き、その区別を内外ともに保てること(=無知の知に気づけること、知ったかぶりしないこと)」、「他人の気持ちに対して謙虚さを忘れないこと」といった基本的な心の持ち方が強い基礎となると感じました。

本全体を通して、話し方と考え方について網羅されていると感じるほど、公私問わず人と話す上で必要な基本が詰まっていると思います。
そして、易しく読みやすい文体で書かれていると思います。そのため、一気に読むことができました。
実際に自分が話す場合になったら、もちろん本に書かれていない事例にたくさん遭遇すると思います。
ただし、この本に書かれたことはほぼ全て応用が利きやすいと思いました。
日常のコミュニケーションの中で、どう話そうか少し迷うことがある場合に、適度なボリュームと整った骨格を示してくれる道しるべになると感じました。

心に残ったポイント3つ

  • 知識は披露するのではなく、だれかのために使ってはじめて知性となる
  • 「相手が何を求めているのか?」を常に想像しながら生活する
  • 「わかった気になったときが一番危ない」

書籍情報

『頭のいい人が話す前に考えていること』(電子版)
安達裕哉 著、ダイヤモンド社、2023年発行