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雑多で個人的な備忘録

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2024年6月3日

11tyによる当サイトの制作記録(その2・開発環境構築〜テンプレートファイルの作成)

はじめに

その1で記したとおり、当Webサイトは静的サイトジェネレーター「11ty」を使用して制作しました。生成したHTMLファイルをWebサーバーにアップロードして公開しています。公開までの大まかな過程は、下記5ステップに分けられます。

  1. ローカルで11tyでの開発環境の構築
  2. テンプレートファイルの作成
  3. コンテンツファイルの作成
  4. CSS、JavaScriptなど、サイトの装飾用ソースコードを作成
  5. ブラウザでのプレビューと装飾用ソースコードの修正

ここでは、これらのステップのうち、1と2について紹介します。

11tyの使用にあたっては、株式会社豆蔵のデベロッパーサイトや、ZennでKey5nさんが執筆されている「静的サイトジェネレータ 11ty を使いながら説明してみる」を参考にさせていただきました。

1. ローカルで11tyでの開発環境の構築

  • 開発用のディレクトリをローカルに作成し、そのディレクトリ上でターミナルからnpm init -yを実行します

  • 続いてnpm install --save-dev @11ty/eleventyとして、11tyをインストールします

    画像はインストールが済んだ直後の開発用ディレクトリ(例:eleventy_test)配下のファイル構成です。node_modulesディレクトリ配下に@11tyがあります。
    11tyインストール直後の開発用ディレクトリのファイル構成

  • ここで、トップページindex.htmlに適用するコンテンツファイルindex.mdを開発用ディレクトリ直下に作成します

    ここではファイルの1行目にHello world!と書きました。
    index.mdに「Hello world!」と書き込む

  • この状態でターミナルからnpx @11ty/eleventy --serveと実行すると、サイトのデータが生成されます

    開発用ディレクトリ配下に_sitesディレクトリが作成され、その配下にトップページindex.htmlが生成されます。ターミナルには[11ty] Server at http://localhost:8080/などと表示されます。サイトのデータの生成とともに、localhostが立てられます。ウェブブラウザでhttp://localhost:8080にアクセスすると、index.mdに書き込んだHello world!が表示されます。
    トップページ「index.html」の生成状態

2. テンプレートファイルの作成

テンプレート、コンテンツ両ファイル間の紐付け

テンプレートファイルを作ってコンテンツファイルと紐付けると、11tyが後者の内容を前者に代入してHTMLを生成します。

紐付けには、まずコンテンツファイル冒頭で、---で挟んだYAML記述部分(front-matter)を設けます。その中にlayout: sampleと記述しておき、キーlayoutの値sampleを名前に持つテンプレートファイルsample.liquidを用意します。こうして紐付けが可能になります。

コンテンツファイル冒頭のYAML部分では、キー名がテンプレートファイル内での変数名、値が同じく変数の値となります。上記のlayoutキーは11tyで独自定義されているため特殊な扱いとなりますが、下図の通りYAML部分にtitle: テスト投稿とし、テンプレートファイルで<h1>{{ title }}</h1>とすると、HTML生成時にテスト投稿{{ title }}に代入され、<h1>テスト投稿</h1>と出力されます。

また下図の通り、コンテンツファイルでのfront-matter以後の内容は、自動的にcontentキーの値として扱われます。テンプレートファイルで変数{{ content }}と記述すると、HTML生成時にfront-matter以後の内容が変数に代入されて出力されます。

上記のしくみを利用して、サイトに必要なテンプレートファイルとコンテンツファイルを作成してゆきました。

Liquid形式でのテンプレートファイルの作成

当サイトにはHTMLに記述方法が近いLiquid形式での作成が容易と判断しました。

11tyのデフォルトの設定では、開発用のディレクトリ直下に_includesというディレクトリを作ると、この配下のファイルはテンプレートファイルとして認識されます。

サイトの作成にあたって、大まかに「トップページ用」「各記事のページ用」「同一タグ記事一覧ページ用」の3種類のLiquidファイルを_includesディレクトリ配下に設けました。

開発用ディレクトリ/
    ├─ _includes/               // テンプレートファイル格納ディレクトリ
    │   ├─ index.liquid         // トップページ用
    │   ├─ article.liquid       // 各記事のページ用
    │   └─ tag_dummy.liquid     // 同一タグ「dummy」記事一覧ページ用
    ├─ node_modules/
    ├─ package-lock.json
    ├─ package.json
    ├─ _site/                   // 生成ファイル格納ディレクトリ
    └─ index.md                 // コンテンツファイルの1つ(当頁1.で作成)

ソースコードの一例

トップページ用のテンプレートファイルindex.liquidは下記のようなソースコードです。 {% include ... %}は、他のテンプレートファイルをインポートする記述です。 コードブロックやページの部分ごとに子要素となるテンプレートファイルを設けることで、極力保守性を確保しました。 各子要素のテンプレートファイルの紹介は割愛しますが、例えば3行目の{% include "head/_for_index.liquid" %}には、HTMLの<head>タグの範囲内の内容を記しています。

<main>タグ範囲内の中盤は、過去10記事を見出しにして載せられるようにしています。

9行目、{% for item in collections.topItems %}collectionsは、コンテンツファイルのfront-matterで設けた特定のタグなどをキーに集めた配列様のオブジェクトです。これに対し{% for %}{% if %}を組み合わせれば、オブジェクトに格納されている要素と、Liquidファイルに記したHTMLタグとの組み合わせで、条件に合った内容の一覧を作成することもできます。

index.liquid
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
    {% include "head/_for_index.liquid" %}
<body>
    <main>
        {% include "body/header.liquid" %}
        {% assign itemCount = 0 %}
        {% assign limit = 10 %}
        {% for item in collections.topItems %}
            {% assign segArr = item.page.url | split: "/" %}
            {% for elem in segArr %}
                {% if elem == "articles" %}
                    {% if itemCount <= limit %}
                        {% if itemCount < 1 %}
                            {% include "body/article_area.liquid" %}
                            {% assign itemCount = itemCount | plus: 1 %}
                        {% elsif itemCount < 5 %}
                            {% include "body/section_area.liquid" %}
                            {% assign itemCount = itemCount | plus: 1 %}
                        {% elsif itemCount < 10 %}
                            {% include "body/topic_area.liquid" %}
                            {% assign itemCount = itemCount | plus: 1 %}
                        {% endif %}
                    {% endif %}
                {% endif %}
            {% endfor %}
        {% endfor %}
        {% include "body/footer.liquid" %}
    </main>
    {% include "body/realtype_script.liquid" %}
</body>
</html>

この後は、コンテンツファイルの作成、CSSやJavaScriptといったサイト装飾用ソースコードの作成、ブラウザでのプレビューと装飾用ソースコードの修正です。これらの内容は、引き続き「その3」として後日アップしたいと思います。

2024年5月19日

11tyによる当サイトの制作記録(その1・当サイトの制作に11tyを使うと決めるまで)

サイトの目的

当Webサイトは、サイト名の下にあるとおり「雑多で個人的な備忘録」、つまりブログのようなものです。
「のようなもの」としたのは、現状ブログと言える機能がなく、こちらからの一方通行の発信となっているためです。
このサイトの目的も「雑多で個人的な備忘録」そのものです。
ペンと紙を使うような気軽さで、日々の思いや考えを書き残したい考えが強いです。

サイトの技術的な形態

レンタルサーバーにHTMLとCSSとJavaScriptをアップロードして公開しています。
11ty」を使い、PCのローカル上でHTMLを生成しています。
こうした形態とした理由について、以下に記しました。

過去にWebデザインの実務にごく部分的に携わって

私は過去に、グラフィックデザイナーとして勤務する中、Web制作の実務に数ヶ月ほど携わったことがありました。
といっても、Photoshopでのレイアウトデザインがメインでした。
フロントエンドのコーディングになると、HTMLとCSSの作成を少しお手伝いする程度のものでした。
ですが、当時アナログ作業とAdobeアプリのGUIによる操作でデザインを構築することしか行ったことのない身にとって、テキストエディターでイチからコードを書いてデザインを構築することは、毎日が驚きと発見の連続だった期間でした。
数ヶ月ほどの業務だったため記憶が曖昧ですが、当時は「jQueryやレスポンシブデザインの興隆期」のような状態だったと記憶しています。

フロントエンド関連技術の独学を通じて

一方コーディング、特にJavaScriptについては、実務でほんの少しお手伝いはしたものの、書いたコードが思うように反映されず苦心の連続でした。
その状態でWeb制作業務から離れたため、消化不良の感覚が強く残りました。

こうした感覚を少しでも解消したいと思い、その後もJavaScriptを独学していました。
独学中に、TypeScriptやReactが台頭し、次第にそれらの知識も習得したいと思うようになりました。
ですが、その流れになかなか追いつけていないのが自らの現状です。

ただ、実務に携わった以上、デザインはイチから作りたいという強い希望がありました。
ブログ的なサイトである以上、ブラウザで表示された時に最優先することは「文章が読みやすいデザイン」だと考えています。
特に、記事の途中で関連性の低い広告が表示されることは避けたいと思いました。
ここで、さまざまな企業によるブログサービスを使用するのは選択肢として難しくなります。
加えて、PHPの知識がないため、WordPressでの運用も考えづらい状況です。

11tyを使った決め手

これまで記した状況や条件を踏まえてこの備忘録をカタチにするには、最終出力はブログのようなものですが、ブログという様式に厳密にこだわらなくてもよいと考えました。
「一方通行の発信」という現状を踏まえ、最終的にHTMLとCSSとJavaScriptをWebサーバーにアップできれば、必要最低限の仕様を満たせると判断しました。
サーバーをレンタルするコストはかかりますが、最優先すべき「文章が読みやすいデザイン」を実現するために至った結論でした。

その上で、HTMLへのハードコーディングは避けたいと思っていました。
こうした希望を満たす技術がないか調べたところ、「静的サイトジェネレーター」という技術がある、そしてその中にMarkdownからHTMLの生成が可能な「11ty」というものがある、ということを知りました。
Markdownが使えると記事の作成も気軽にできると考え、最終的に11tyを使おうと決めました。
11tyの公式サイトや、11tyを紹介なさっているさまざまな企業や個人の方々のサイト(例:株式会社豆蔵のデベロッパーサイト)を拝読し、Markdownに限らず、JavaScript(.11ty.js形式)、Liquid、Hamlといった多様な形式からHTMLが生成できることを知りました。
さまざまな入力形式を受け付け、出力はHTMLに収斂する形態であることが大きな決め手となりました。

以上のような経緯で、11tyを使った当サイトの作成に至ります。

この続きは「その2」として後日アップしたいと思います。